07.31
Vol.02 「巨大コンテナ船の進水式」
□日時:2003年7月31日(木)午前9時
□場所:兵庫県神戸市、三菱重工神戸造船所
□内容:巨大コンテナ船の進水式
今回は友人の案内で三菱重工神戸造船所で行われた「進水式」に参加(見学)してきました。なんせこの「進水式」に参加するには、うん十億円を払って自分でコンテナ船を発注するか、それとも三菱重工に就職して造船部門で働くかという厳しい条件の中とても貴重でレアで感動的な体験をさせてもらいました。ほんまに感謝です。
「巨大コンテナ船の進水式」編
○進水式とは?
進水式というものは完成した船を大海原にデビューさせるものとばかり思っていましたが、ここで行われた進水式は陸上で作っていた船体(船の下の部分)が出来たので陸から海へ進水させた後、今度は海に浮かべて船室など(船の上の部分)を作るそうです。いわば製造工程における中間地点の大セレモニーなのです。
ちなみに船の建造期間ですが、概ねブロック製作3ヶ月、船台組み立て3ヶ月、岸壁儀装4ヶ月程度なので、おおよそ10ヶ月でこのサイズのコンテナ船が完成するそうです。こんな大きなものをそんな短期間で作れるなんて日本の造船技術に今更ながらに感動です。
○船の紹介
この船は商船三井がコンテナ船として三菱重工に発注したもので、長さが294メートル。幅が32メートル。高さが21メートル。そして総トン数は53,400トンととにかくでかい。目の前にいくと巨大なビルが横たわっているような感じです。普通船は3分の1ぐらいは海に沈んでいるものですが、ここにある船はまだ陸の上にあるので首が痛くなるほど見上げないと上まで見えません。一度海に入ってしまえばこのアングルで見る事は二度とないでしょう。う~~ん長い、高い、重たそう・・・船の名前は「MOL EXPRESS」といい、MOLとは三井オーシャンラインの事だそうです。
○記念の絵はがき
進水式では記念の絵はがきが配られます。ここには大海原を颯爽と航海するこの船の様子が描かれていますが、この時点では船はまだ完成していませんので、写真を撮ることは出来ません。なんとこれはとても精巧な油絵で描かれているのです。そしてこの完成イメージの原画はオーナーにプレゼントされるそうです。あなたも船を発注して油絵をもらってみますか?うん十億円の油絵といえばゴッホ並みですね。
○進水式の式次第
先ず、進水式は満潮時に行われます。そして楽団による「君が代」演奏のあとオーナーによる船の命名式があり、船名の上にある紅白の幕がはがされます。そして御祝いのお酒の瓶を派手に(がっしゃ~~んと)割った後、船を止めているくさびが抜かれます。すると待ってましたとばかりにこの巨大な船がするすると動き始めます。その後は「くす玉が割れる」「紙テープが乱れ飛ぶ」「鳩が飛ぶ」「7色の風船が飛ぶ」とやんややんやの大騒ぎの中、船は海へと進んでしていくのです。ウルトラマンに出てくる怪獣が動くのってこんな感じかな?って思います。残念ながらこの凄さは現場でしか伝わりません。それにしても何の動力もなく、何本かのくさびを抜くだけで何千トンの船が海に向かって進んでいく姿はとても不思議でした。またこの段階ではエンジンも積んでいないため、タグボートに引かれて岸壁へと戻ってくるのです。
○実感!ものづくりの現場にまんまに感動!
今日の進水式は朝の9時から行われましたが、ドックが空いた後すぐに次の材料が搬入され午後からは新しい船の製造に取りかかるそうです。こんなすごいものを次から次へと作っているものづくりの現場に触れる事が出来たことは、まさに感動的な体験でした。ここで作られた船が世界中の海で活躍する。う~~ん!ものを作るって本当に素晴らしい事ですね。ウルウル・・・。感謝!